「いだてん」低迷の理由は日本人の予定調和好みが原因か

この足、オカルト映画みたいでこわい・・

視聴率の低迷が続く「いだてん」。
その、あまりにも評価が低いことに心を痛め、先週から見始めました。
(我が家に視聴率測定端末がないので、その動向は直接の影響はありませんが。)

実際に見てみると、意外に面白いではありませんか。

特に、主役の勘九郎さんがいいですね。
「大河らしいオーラや重厚感がない」という指摘もあり、それもまた頷けるところはあります。でも、この作品の主人公は、朴訥としていてなおかつ軽やかなキャラクターでなければなりません。
ここに六代目勘九郎さんを引っ張ってきたことは成功だと思われます。

そうは言っても、確かに低迷の原因もいくつか見受けられ、中には致命的な問題も抱えています。

低迷の原因その1 時代が跳びすぎる

我が家には80歳を越える年寄りがいまして、あまりテレビに固執していないものの、何とはなしに大河も見ています。そんなうちの年寄り(女性)が漏らした感想はというと。

番組スタート時
「番組紹介がおもしろそうだったから見てみたけど、何がなんだかさっぱりわからない。おもしろくない。」
そう言って、しばらく見ていませんでした。

その後、視聴率低迷が報じられると、
「なんだか可哀そうだから、見てやるか。」(根拠のない判官びいき)
そして再度見始めたところ、
「けっこう面白いなあ。ストックホルムまで行くのって大変だったんだねえ。」
と、ポジティブな感想です。
「最初はわからなかったけど、だんだんわかってきた。」(時代を跳んでること)

それでも、一緒にテレビを見ていると、時代が跳んだところを理解できない場面があり、楽しみつつも混乱しているようです。

ちなみに、うちの年寄りはボケていません。かなりはっきりしている方です。

「いだてん」に見られる場面の切り替わりは、ここで改めて確認するまでもなく、複雑です。
①金栗四三(勘九郎)が活躍する1912年前後
②田畑政治(阿部サダヲ)が中心となる1964年前後
③古今亭志ん生の青年時代
④ 古今亭志ん生の噺
⑤ 古今亭志ん生と弟子との日常

実際には①③は同時代だし②④⑤も同時代なので、2つの時代を交互に映しているだけなのですが、見る人にとっては5つの時代(?)が突然切り替わるように感じてしまいます。
これは、大河の主たる視聴者である年配層にはキツイ。

低迷の原因その2 知らない人である事

「忠臣蔵」ああ、あれね。
「本能寺の変」うんうん、知ってる。
「関ケ原」そうそう、あれで時代が動いたんだよね。

プロレスでは最後にジャイアント馬場の16文が炸裂して勝つ。
野球ではジャイアンツが優勝する。
水戸黄門が印籠を出すと、大抵は「ははーっ」となる。

日本人は、予定調和が大好きな民族みたいです。
(外国がそうなのかは、わかりませんが。)
時に義経に見るような判官びいきもありますが、それも含めての予定調和。
だから、大河ドラマも同じ時代、同じ題材を違った視点で撮り直す。
大筋はみんな知ってるから、安心して見てられる。

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結局のところ、今回の低迷の原因はこれのような気がするんです。

多くは、金栗さんも田畑さんも知らない。

知らないことがストレスなのに、時代が跳ぶからわからない。
(これ、知ってる話題なら少々時代が跳んでもついていける。)

「いだてん」おもしろいよ

いろいろと課題の多い「いだてん」です。
私が感じる低迷の原因は上記2つ。
その2つとも、NHKとしては冒険だったのでしょう。

そのチャレンジ精神は評価しますが、どちらかひとつの挑戦にすべきでした。

でも、作品としては非常に面白いです。
うまく乗せられれば、団塊の世代を取り込むことができるかもしれません。
「三丁目の夕日」のような人気が出る可能性だって秘めています。
(でも、あの映画は時代がぶっ飛んだりしなかったから、お年寄りもストレスなく楽しめたのも事実。)

何と言ってもマラソン歴代最長記録を樹立しているお方ですから、話題性は抜群。笑っちゃいけないけどちょっと笑えるその記録も、勘九郎さんの演じるキャラクターとうまくマッチしています。

勘九郎さん、軽やかでいいですね。

オリンピック前年です。
みんなで「いだてん」を見て、日本で4度目のオリンピックを盛り上げていきましょう。

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