「旅の重さ」隠れた名作映画 その3

「ママ、びっくりしないで、泣かないで、落着いてね。そう、わたしは旅に出たの。ただの家出じゃないの、旅に出たのよ。」
16歳の少女が、家を飛び出し、四国遍路の旅に出るロードムービー。どこまでも自由でみずみずしい感性が四国の美しい風景に相まって、美しい映画になりました。高橋洋子、秋吉久美子のデビュー作としても話題になりました。

「旅の重さ」のあらすじ

家出をした少女は、旅先で様々な人々に出会いながら、四国を巡礼する。旅芸人一座との出会い、ともに過ごすことになる。旅芸人一座の女性と裸で海に飛び込んだり、時には愛撫を交わしたり、どこまでも自由な時間…。しかし、少女は一座に別れを告げ、再び一人旅に出る。
体調を崩し、ふらふらになりながらも旅を続ける少女。ついに力尽きて路傍に倒れる。少女を助けたのは40歳を過ぎた魚の行商人であった。男に好意を持つ少女。男は少女を女性として見ることをためらっていたがやがて夫婦としての生活を始め、少女は男と共に行商に出る。
「ママこの生活に私は満足しているの。この生活こそ私の理想だと思っているの。この生活には何はともあれ愛があり、孤独があり、詩があるのよ」
手紙を通して母との決別を宣言し、少女は男との人生を選択する。

「旅の重さ」の見どころ

草むらでの男女の逢瀬や主人公と一座の女とのれずビアンの絡み、裸で海に飛び込む少女の姿など、当時は衝撃的な映画として話題になりました。昭和の生々しい色香も見所ではありますが、不安定な少女が少しずつ大人の陽と陰を目撃、体験する中での自己形成のステップが、見る側にも追体験させてくれる力があります。
この映画でデビューした高橋洋子、秋吉久美子という昭和のアイドルが、とにかくかわいい。二人の少女の姿にも注目です。秋吉久美子の出番が今ひとつ少ないのがちょっと残念ではありますが。
また、ロケ地であり、実際の物語の舞台でもある四国の風景も美しく、少女の心象風景としても非常によくできています。

「旅の重さ」のキャスト


高橋洋子
オーデションで、当初は秋吉久美子が一位になりそうだったが、遅れて来た高橋洋子が結局グランプリを獲得し主役に。この映画での存在感は圧倒的でした。
この映画を機に有名になった高橋洋子は、その後数々の映画やテレビドラマに出演し、大女優への道を進むことになります。特に、NHK朝ドラ「北の家族」のヒロインとして、爆発的なヒットを生んでいます。
また、小説家の顔も持ち、デビュー作の「雨が好き」で、1981年に中央公論新人賞を受賞。2年後にはその「雨が好き」を自ら監督・脚本・主演を務め、映画化しています。

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秋吉久美子
高橋洋子に敗れて2位になった秋吉久美子。「旅の重さ」では、自殺してしまう可憐な文学少女を演じました。
秋吉久美子は、映画の後芸能界から離れていましたが、やがて女優として本格的に動き出すと、その可愛らしい容姿から、数々の映画やドラマに出演し続けました。平成7年には主演した「深い河」で、モントリオール映画祭作品賞を受賞するなど、年を重ねても輝かしい芸能活動を今も続けています。

まとめ

「旅の重さ」は、高橋洋子と秋吉久美子という2大女優がオーデションで合格し、同時にデビューした記念すべき作品です。大人へと成長する16歳の少女が、四国の美しい風景の中で自分さがしの旅に出るロードムービー。切なく淡く、そして美しい青春時代を感じる作品です。ぜひビデオショップでレンタルしてみてください。

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