部分水素添加油脂、トランス脂肪酸不使用のマーガリンは信頼回復なるか

アメリカで「トランス脂肪酸を含む食品の禁止」という動きが出て来て以来、マーガリンの人気はずいぶんと下降しました。何と言ってもトランス脂肪酸を含む食品の代表ですから。

米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から

2015/6/17日本経済新聞

 【ワシントン=川合智之】米食品医薬品局(FDA)は16日、一部の菓子類やマーガリンなどに含まれ心臓疾患のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」の原因となる油の使用を禁じると発表した。「食用として一般的に安全とは認められない」と判断した。3年間の猶予期間を経て、2018年6月以降は食品への添加を原則認めない。

アメリカの全面禁止まで5ヶ月を切り、日本でも動きが出て来ました。雪印メグミルクが、トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂を不使用と発表したのです。一社がこのような転換をしたのですから、程なく他社も追従するでしょう。

ここで、「部分水素添加油脂」という新しい言葉も出て来ました。この言葉を含め、トランス脂肪酸について振り返ってみます。

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1 そもそもトランス脂肪酸、部分水素添加油脂って何?

農林水産省にも詳しい説明が載っています。しかし、どうも省庁の説明は「自分達が作り、運営している法律」を補強する傾向があり、そのまま鵜呑みにしたくないので、Wikipediaを参考にしました。

トランス脂肪酸は天然の動植物の脂肪中に少し存在する。水素を付加して硬化した部分硬化油を製造する過程で多く生成される。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングはそうして製造された硬化油である。他にも特定の油の高温調理やマイクロ波加熱(電子レンジ)によっても多く発生することがある。

LDLコレステロールを増加させ心血管疾患のリスクを高めるといわれ、2003年に世界保健機関(WHO)/国際連合食糧農業機関(FAO)合同専門委員会よって1日1%未満に控えるとの勧告が発表され、一部の国は法的な含有量の表示義務化、含有量の上限制限を設けた。日本では、製造者が自主的に取り組んでいるのみであるが、同じように目標値が設定されている飽和脂肪酸の含有量が増加している例が見られる。 Wikipediaより

トランス脂肪酸は体に良いものではありませんが、これはわざと添加している訳でなく、水素を添加して油脂を硬化する過程でできてしまうものだそうです。また、油を加熱する過程でも発生してしまうので、揚げ油を長く使うのも問題のようです。

また、クッキーやスナック菓子、パンやケーキにも材料としてショートニングが含まれています。

なるほど、部分水素硬化油脂とは、不飽和脂肪酸(融点が低い)に水素を添加させて、飽和脂肪酸(融点が高い)に変えているということなのですね。

もともと健康に良い不飽和脂肪酸(低い温度でも液体サラサラ)を、やや体に重い飽和脂肪酸に変えているのですから、ちょっと複雑な気分ではありますね。

トランス脂肪酸を多く含む食品

農林水産省のページを検索すると、次の商品が出てきます。

1 ショートニング(100gあたり 1.2~31

2 マーガリン(0.36〜13)

2 味付けポップコーン(13)

4 ファットスプレッド(0.99~10)

5 コンパウンドクリーム(9.0~12)

以下、ハヤシルウ、クッキー、コーヒークリーム、クロワッサン、半生ケーキと続きますが、これは材料の問題ですね。これらの商品は、店によってかなり差が出てくることが予想されます。

食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量

農林水産省

雪印メグミルクの対応

雪印メグミルク、家庭用マーガリン全品で部分水素添加油脂を不使用へ

2/5(月) 17:20配信 食品産業新聞社ニュース

〈健康意識の高まりに対応、マーガリンの需要回復を図る〉

雪印メグミルクはこのほど、3月から家庭用マーガリン類、ショートニング全品で部分水素添加油脂不使用にし、6月から商品パッケージ上で不使用表示、トランス脂肪酸の低減に取り組んでいる文言を明記することを明らかにした。

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6月からはパッケージ上に部分水素添加油脂不使用の文言を使用

油脂を安定させるのに、これまでは部分水素添加油脂を使っていました。それが、企業の努力と技術で「他の方法で安定して固める」ということなのですね。

どんな技術なのかは、一般人の私たちには知る由もありませんが、健康を考えて技術開発してくれるのなら歓迎しましょう。

私たちが意識すべきこと

トランス脂肪酸を含まないマーガリン(正確にはファットスプレッド)が出てきたことで、食品の選択肢が広がります。でも。よく考えてください。油脂を多く摂りすぎることがどれだけ健康に影響を与えるか。ひとつの食品だけを摂り続けることがいかに偏っているか。

私たちが食べ物に期待するのは、「美味しさ」と「健康維持」です。健康を考えた時に「いろいろな種類の食品をまんべんなく食べる。」という基本的な考え方は、今でも色あせていません。今回の雪印メグミルクの改善に拍手し、選択肢に入れながら、偏りなく食品を利用したいものです。

まとめ

雪印メグミルクは、今後の乳製品に「部分水素添加油脂」を含有しない商品を売り出します。アメリカでも2018年6月からは使用禁止となる「トランス脂肪酸」の含有もなくなるようです。(自然にも含まれているものは入りますよ。)

血管疾患のリスクがある「トランス脂肪酸」を含まないマーガリン(ファットスプレッド)は、選択肢の一つとして再評価されるでしょう。

私たちは、雪印メグミルクの商品も含め、偏りなくいろいろな商品を活用して、健康維持に努めていきたいものですね。

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