ここまでの政府の対応は
いろいろと批判を受けている政府の対応ですが、本当に失敗だったのかどうかはまだ判断できない状況です。だって、まだ収束していなのですから・・。とは言え、今までの対応についていくつか確認してみます。
1 ダイヤモンドプリンセスの対応
「そもそも受け入れるべきでなかった。」という意見は、ここでは取り上げないことにします。仮に日本の船なら受け入れざるを得ないわけだし、そもそも大部分が日本人客ですから、仮にイギリスに送ってもそこに飛行機を飛ばすことを考えれば、受け入れは仕方ないでしょう。
しかし、しっかりした隔離が難しい狭い船内で2週間もの間留めおいたことで、どうやら感染が広がったのも間違いなさそう。結果論ですが、横浜近郊に受入可能な宿泊施設(つくば研修センターなど政府の施設も含めて)があればどうだったかと思います。
結果的に成功とは言えないものの、でも仕方ないかもしれません。
2 中国からの入国制限が遅れたこと
うーん、判断ミスかなあ・・・。とは言っても、経済を考えて一概にシャットアウトできなかった苦悩もわかります。サーモグラフの体温検査で切り抜けようとしたのですが、今回のコロナウイルス は無症状感染が多いという話ですから、検温程度ではザルの対応だったということです。
習近平さんの訪日もあって躊躇したというのが本音でしょうが、中国と十分に事前調整して、早めに入国制限していたらどうだったか。ここは反省材料です。
3 現在の入国制限について
中国及び韓国からの入国に際し、2週間の待機を要請するというものです。しかし、「公共交通機関を使わないで、自力で移動して、2週間はホテルなどの部屋で大人しくしてね。」という、制限になってるかどうかもわからないゆるい対応でいいのかと、ここは疑問を持ちますね。
2週間待機させるのなら、国がどこかに隔離すべきだし、施設が足りないなら隔離できる数だけビザ発行するなど対応すべき。できない分は入国拒否してお帰りいただくしかないでしょう。
韓国がなにやら騒いでいるようですが、ここはまともに対応する必要はないでしょう。今はお互いに交流を遮断すべき、どちらの国にとってもです。感情的に批判している段階で無視すべき。
4 PCR検査の不足について
残念ながら、ここは大失敗と言えるでしょう。「集中治療室に入った人や人工呼吸器をつけた人など重傷の人の確認のため」という基本姿勢が出たときには、ギャグかと思いました。
これって、インフルエンザより大変だという共通認識で動いているのですよね。インフルエンザで死亡する人も少なくない日本で、「インフルエンザの検査は、重症になった人について、その原因がインフルエンザだったんだと確認するためにやります。」なんて言ったら、袋叩きですよ。
確かに「検査しても薬がないんだからやっても無意味だ。症状出たら大人しくしてるしかない。」という意見もわからないくはありません。でもね、普通は症状がでたら医者に行くよ。それが、「熱出て4日ね。年寄りと持病持ちは2日。」と勝手に基準を作り、最近になってようやく「条件つけたのは、検査能力が足りないから、調整するために条件つけた。本当ならすぐ検査したほうがいい。」という有識者会議からの暴露も飛び出す始末。
検査能力が限られているのはわかる。でもそれなら能力ギリギリまで頑張るべきでしょう。これだから「オリンピック実施のために検査を控えているんだろう?」と勘ぐられても仕方ない、というかそれが見え見え。
5 休校措置とイベント自粛は
少し乱暴ですが、休校の影響なんてそんなに大きくありません。「食べ物がー。」「見る人がー。」とか騒ぐ人いますが、今までだってインフル蔓延に伴う休校措置があり、大抵は学校(の設置者の市町村教委)が昼くらいに決定し、子どもは「明日から3日間学校ない。」というお知らせを握りしめて帰宅するわけです。
それに、もうすぐ春休みになります。春休みなら、1年前から決まっていた計画的な休み。これに文句を言う必要はないでしょう。
「お前は子育ての大変な状況がわかっていない。」というお叱りも受けるかもしれませんが、意外に子供はたくましいものです。少なくとも小学4年より上の子が家にいることで「ごはんどうしよう。」なんて途方に暮れるとしたら、今までどんな過保護に育てたんだという話です。
ただ、小学校の低学年、それから特別支援学校の子については周囲の援助が必要なのは言うまでもありません。我々が援助すべきなのは、あくまでもここです。
イベントの自粛は、こちらは影響が小さくありません。「こんな状況でイベントじゃないだろう。」と言うのは簡単ですが、イベントで生計を立てている人、宿泊施設、観光やレジャー客相手の商店や施設などはそれこそ死活問題です。
ディズニーランドやUSJが休業していますが、あれくらいの大きなところなら体力もあるかもしれないけど、小さな遊園地なんかはバタバタと倒産するかもしれません。また、すでに閉館を決めた旅館も出ているという話。ここは行政の支援が欠かせないところでしょう。
ところで、
パチンコ店は自粛対象外かーい?!
6 マスク転売への対応
個人の自由、経済活動の自由はわかるが、そもそも転売に関する規制が緩すぎる。「日本は転売ヤー天国でーす。どうぞみなさん来てくださーい!」って転売ヤーのインバウンド進めて何してんの!と突っ込みたくなるほど、規制がゆるいゆるい。日用品や定価のあるチケットなどを法外に高く売買した人には、2度と立ち直れないくらいの罰金と禁固刑の両方を必ず喰らわせてやってくれ!
オリンピックが中止(延期)になると
SMBC日興証券は6日、新型コロナウイルス感染が7月まで収束せず、東京五輪・パラリンピックが開催中止に追い込まれた場合、約7.8兆円の経済損失が発生するとの試算を公表した。国内総生産(GDP)を1.4%程度押し下げ、日本経済は大打撃を被るという。
2020、3、6 時事通信社
SMBC日興は、新型ウイルスの世界的な感染拡大が7月まで長期に及ぶ場合は五輪開催中止の可能性が高いとみている。五輪に絡む損失では、宣伝や輸送といった大会運営費に加え、訪日客を含む飲食・グッズ購入など観戦関連支出で計6700億円とはじいた。新型肺炎の感染拡大が収まらず、国内消費のほかサプライチェーン(部品供給網)の依存度が高い中国を取引先とする輸出入減少などの影響と合わせると、損失総額は7.8兆円程度に上ると見込んだ。
これは大変なことですね。せっかく莫大な費用をかけて積み上げてきたものが、コロッとなくなるわけですから、これは相当のショックでしょう。オリンピックそのものの運営団体だけでなく、観光客を当てにして施設の拡充など準備を進めてきた皆様の心情を思うと、なんとか実施させたいものです。
私も、ひとつだけチケット当たってますし・・・。
中止は日本だけの責任ではない
もちろん受け入れる側の日本がパンデミック状態なら試合なんかとんでもない話ですが、仮に日本が治ったとしても、世界各地で感染が広がりを見せる中、多くの選手や観光客が集結する「イベント」は避けなければなりません。
無観客試合という手もなくはないでしょうが、諸々の収入を考えると無観客でも実施という選択肢はないでしょう。もともと選手ファーストの大会ではなくなってるし。
いずれにしても、中止の判断をする場合、IOCは「日本のせいで中止だ!」とは言わないでしょう。ならば、ここまでの費用をIOCがどう補填するのかという交渉も今後話題になるでしょうね。おそらく金銭保証ではなく時期を変えて、または次々回あたりに繰り下げる案あたりが出てくるでしょうか。
インバウンドから軸足を移すチャンスにしたい
観光というのは、なかなかおいしい産業です。例えばモンサンミッシェル、あそこに寺院がどーんと建っていることで、いったいどれくらいの付加価値がついたかを思うと、その破壊力は凄まじいものがあります。また、昨今の世界遺産ブームもあり、飛びつきたくなる気持ちもわかります。
でもね、どうして海外からの観光客が必要かというと、日本人があまり来ないからという側面はないでしょうか。
例えば世界一休暇が多いと言われるドイツは、年度当初の会議が「誰がどこでバカンスを取るか。」という調整だと聞いたことがあります。彼らは1ヶ月のバカンスを必ず取ります。おまけに土日もしっかり休むし、そもそも残業も日本に比べると微々たるもの。それなのに収入は日本並みかそれ以上にもらっています。
ドイツに比べると日本は、総生産は勝ってるものの、一人一人の生活水準を考えるとかなり差をつけられているの事実でしょう。(少なくとも私はそう思ってる。)
もし、日本人がドイツ人並みに一定の収入を得ながらしっかり休日が約束されるなら、国内の観光業も潤うような気がします。まあ、爆買いという現象はないでしょうが・・・。
いずれにしても、海外からの観光客頼りでない経済の活性化を、落ち着いて考えていきたいものですね。綺麗事かもしれませんが。