日本国憲法と自民党改憲案を確認する10 第9章 緊急事態

新しい項目が立ち上げられた

これまでの憲法では、第9章は「改正」でした、それが自民党の改正案では「緊急事態」という新しい項目が立ち上げられ、「改正」の章は第10章に繰り下げられました。
 この章は、新旧の比較はできません。さっそく自民党の案を見てみましょう。

災害に関しては緊急事態宣言が増えるかもしれません。

シリーズ作成に当たって(共通なので1回読んだらスルーして!)

自民党の憲法改正案が出されたのが平成24年。すでに6年前になりました。あれからいろいろな議論があったようですが、正直言うと一般市民のほとんど(含む私)は改正案をしっかり読んでいないでしょうし、そもそも憲法だってちゃんと読んだことなどありません。その後、公明党への配慮などもあり、かなりトーンダウンした「改憲4項目」が平成30年の自民党大会に出されました。
 ここでは、現行憲法と「改憲4項目」の前に出された平成24年版自民党の改正案を比較しながら、自民党の目指す未来を理解し、何が素晴らしいのか、何がヤバイのかを見ていこうと思います。
 ちなみに、私は「政権交代がないと政府が腐るのは否めない。」という理由で反自民ですが、自民党の政策そのもに全て反対しているものでもなく、このシリーズもできるだけ公平に見ていきたいと思います。

これが自民党案の第9章だ

第9章 緊急事態
(緊急事態の宣言)
第98条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等のよる大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言をすることができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4 第2項及び前項後段の国会の承認については、第60条第2項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日以内」とあるものは、「5日以内」と読み替えるものとする。
(緊急事態の宣言の効果)
第99条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第14条、第18条、第19条、第21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

自民党改憲草案
こんなのが飛んできたら、緊急事態だな。

いったい何を言いたいのか

我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等のよる大規模な自然災害その他

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戦争やテロ攻撃、それから災害時に宣言するわけですね。

内閣総理大臣は、緊急事態の宣言をすることができる

総理大臣が宣言するのね。

内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定
内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分
地方自治体の長に対して必要な指示

緊急事態には、政令を出したりお金を出したりできます。

何人も国その他公の機関の指示に従わなければならない。

緊急事態ですから、ある程度の指示に従ってもらうことは必要でしょう。

緊急事態の間は、選挙をしない

緊急事態ですから、選挙なんかしてる場合じゃないです。これは当然でしょう。

2020年4月加筆
コロナウイルスによる自粛から緊急事態宣言が出されるまでに至った時期に、地方の市長選挙やどこぞの補欠選挙が行われ、「密です状態」を作り出している事例もありました。ここは見直す必要がありそうです。

こういうのがエスカレートしちゃうと、緊急事態?まさかね。

まとめ 実際に宣言される状況を考えると

正直言うと、憲法を変えなくても緊急事態になればそこそこの指示があるのは当然でしょう。例えば豪雨災害時に避難指示をするというのだって「緊急事態の宣言をして、指示に従わせている」わけです。考えようでは当たり前の話です。これを憲法に明文化することにより、宣言の乱用が無いようにしてほしいですね。

改正の有無に関わらず、こんな宣言ないに越したことはありません。

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