「ものすごい悲惨な状態で、心の底からこわいと思った」「(船内は)カオス」と、神戸大学の先生が告発していました。実際、あまり環境が良いとはいえない空間で、2週間の待機期間中に感染が広がった可能性を否定できないようです。すでに大部分に感染していた可能性もあるので、ここで無責任なことはいわないでおきましょう。
告発(ユーチューブ動画)の内容自体は間違っていないと思うし、指摘の通り「レッドゾーン」と「グリーンゾーン」の区分けは完全になされていないのは間違い無いでしょう。でも、ではどうすれば良いのか(良かったのか)ということ。批判するのは簡単ですが、改善策を提示するのは難しいものです。
客船の人口密度を考えてみます
ダイヤモンドプリンセス号は、
全長290m 全幅37.5mですから、ざっと計算すると面積が0.01平方キロ。ここに3000人が閉じ込められてるわけですから、人口密度はなんと
300000人/km2
となります。世界一人口密度が高いのがマカオの20426/km2ですから、その10倍以上ですね。今度は、一人当たりの占有面積はどうなるかというと、
一人あたり3.33平方メートル
です。もちろん客船は階層構造ですから実際はもっと大きいわけですが、特に居住地区は恐ろしく狭いです。もはや下の写真のハイチの貧民層の住宅に匹敵するといっても過言ではないでしょう。
では、仮に上記の写真の中で感染症が発生し、この画面から誰も出てはなりませんと言われたら、「レッドゾーン」「グリーンゾーン」を分けることができるでしょうか。無理です。もはや船全体を「レッドゾーン」にして、波止場の一角を船に開放してそこに「グリーンゾーン」を設定するしかないのかもしれません。
確かに失敗や判断ミスがあったことは否めないです。でも結果を見てから批判するのは「後出しジャンケン」のような気もするし・・・ああ難しい。
昔、客船に乗った時、風邪が大流行しました
話に尾ひれがつくのも本意ではないので、船の名前は明かしません。その船に乗った時のことです。日本を出た大型クルーズ船は、中国を経てシンガポールに到着しました。シンガポールで、シンガポール、マレーシア、台湾の人がかなり多く乗船し、船内は一気に国際色豊かになってきました。
それは良いのですが、同時期に風邪が大流行したのです。あちこちで咳をする人が見られ、船室で寝ている夜中も、近所の部屋から苦しそうな咳が聞こえてくる状態でした。幸い風邪の流行は3週間くらいで収束しましたが、その間船内の医務室は大盛況だったそうです。
私も御多分に洩れず風邪の洗礼を受け、1週間くらい寝込みました。あの時は、どこに行こうが風邪のウイルスから逃れることはできないと感じたものです。それに、風邪が流行っているからといって、「全員船室に2週間待機」などという措置が取られるわけがありません。風邪流行期も、ダンスパーティーや数々の講座・講演、映画などが催され、元気な人も咳き込む人も時間になればレストランに集結します。満遍なく感染し切るまで収まる理由が何も無い状態でした。
船旅は思いのほか楽しいです。でも、狭い空間に長期間同居するため、感染のリスクはかなり高いのは間違いないでしょう。
下船した人を差別しませんように
ないと信じますが、辛い思いをして帰宅した人を「あいつに近づくな。」なんて言わないようにしましょうね。
よく考えると、すでにウイルスは国内に広まっているようですから、逆に「陰性でした」と判定をもらった人の方が安心なくらいですよ。
いずれにしても、早めに収束するといいですね。