ちょっとした諍いから、長年音信普通だった兄が倒れたという連絡を受け、愛用のトラクター(時速8キロ)で会いに行くおじいさんのお話です。一見するとどこにでもいる普通のじいさんが、行く先々で語る言葉にも人生の重みを感じます。心温まること間違いなし。
「ストレイトストーリー」のあらすじ
アルヴィン・ストレイトは娘のローズと暮らす73歳の老人。彼は不摂生のためか腰が悪く、家で倒れても人の力を借りなければ立ち上がることもままならない。
ある日、若い頃からの不和が原因で長年会っていなかった兄が倒れたという知らせが届く。兄が住む家までの距離は350マイル(約560km)。アルヴィンは芝刈り機に乗り一人で無謀とも言える旅に出た。
芝刈り機の故障など、道中で様々な困難にあう。旅で出会う人々は彼を奇妙に思いながらも、ある者は助けを惜しまず、ある者は諮詢に満ちたその老人の言葉を得る。(Wikipedia)
3歳年上の兄とは、どんな事件があったのでしょう。きっと、つまらないことでお互いに意地をはっただけなのでしょう。それぞれが人生の最終章を迎える時期、今までの関係を清算するために旅に出た弟。その弟を静かに受け入れる兄。二人の息づかいがいいです。
また、旅先でのアルヴィンの言葉が深いのです。
はじめは「しょうもないおやじ」に見えたアルヴィンが、映画が進むにつれてすばらしい人格者に思えてきます。そんな空気を醸し出す役者陣も個性的です。
「ストレイトストーリー」の役者さんたち
リチャード・ファーンズワース(主役のアルヴィン)
若い頃から西部劇を中心に活躍したリチャード・ファーンズワースは、この映画で一躍時の人になります。ニューヨーク映画批評家協会賞の主演男優賞を獲得し、アカデミー賞にもノミネートされています。
おそらくこの映画の当時から癌に侵されていたリチャードは、残念ながら映画公開の翌年に自殺してしまいます。リチャードは亡くなりましたが、彼の晩年の姿は映画にしっかりと刻まれ、これから何十年、あるいは何百年と生き続けます。役者としては本望かもしれません。
ハリー・ディーン・スタントン(アルヴィンの兄)
「暴力脱獄」「エイリアン」「ローズ」「パリ、テキサス」「グリーンマイル」など、多数の作品に出演した名優です。主役は少ないものの、画面を落ち着かせる名わき役と言えるでしょう。(「パリ、テキサス」では主役!)
シシー・スペイセク(アルヴィンの娘)
もうちょっと若い頃「キャリー」の主役でした。アカデミー賞にも何度もノミネートされている名優です。
「ストレイトストーリー」あれこれ
監督は、あのデヴィッド・リンチです。
こんな暖かいロードムービーを作る監督とは思えませんが、才能のある人は、何でもできちゃうんですね。
この話は、実話です。ほんとにアルヴィン・ストレイトという人がいて、兄のところにトラクターで会いに行ったのだそうです。
Amazonのカスタマーレビューでも、ほとんどが☆5つになっています。必見です!