「ツォツィ」隠れた名作映画 その6

オープニングからいきなり異空間に投げ出された不安と不穏な空気。ここは南アフリカだ。

ツォツィはスラム街に住む不良少年。いつものように3人の仲間と恐喝をしている時、相手が不意に声をあげたことから刺し殺してしまう。その夜、雨の中で女性の運転する車を奪う。その車の中には小さな赤ん坊がいた。

赤ん坊を紙袋に入れ、近所の女性に銃をつきつけて乳を飲ませながら、なんとか子供を育てようとするなかで、ツォツィの心が変化していく。

この映画は、いわゆる血も涙もない悪党の主人公が、赤ん坊を手にしたことから人間性を取り戻すお話。ストーリー自体はあまりひねりもないが、日本人には想像もできない南アフリカ社会の闇を映してくれているようだ。(実態がつかめないから、「ようだ」としか言えないが。)

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ツォツィの時代背景

ソウェト地区(ヨハネスブルグD区)は、南アフリカ共和国における「アパルトヘイト」により隔離が行われた、アフリカ系国民にとって象徴的な場所である。

ソウェトの町(ウィキペディアより)

アパルトヘイトは、なんと1993年まで続いていた。生まれながらにして差別を受ける悪法が、25年前まで有効だったことに驚く。

住居も区別され、公共施設も分けられ、白人の公園に立ち入った黒人は逮捕される。同じ仕事をしても、白人は黒人の6倍の賃金をもらう。(工業従事者)。

当時は、白人、カラード、アジア人、黒人に分けられていたが、日本人は貿易相手国として重要だから白人扱いだったという。(こんな話を授業で聞いた。)

国際社会から非難を浴び、経済制裁もあったようだが、日本は相変わらず金やダイヤを買ってくれたという話も聞いたことがある。日本も非難されてたとか。

アパルトヘイトが廃止され、一応の平等社会は生まれた南アフリカ共和国。でも、たった25年で全てが解決されるはずもないだろう。だって、南北戦争から150年が過ぎたアメリカでさえ、未だに人種差別の気配は残っているのだから。

ツォツィのデータ

2005年 南アフリカ・イギリス映画

時間 95分

監督 ギャヴィン・フッド

アカデミー外国語映画賞受賞

ツォツィ役のプレスリー・チュエニヤハエ
主人公っぽくない顔だな

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ツォツィの赤ん坊に乳をあげる若き主婦。
テリー・フェト といいます。
なかなか可愛い美人です。

こちらも必見

遠い夜明け

アパルトヘイトに対し、立ち上がった民衆の指導者、スティーブ・ビコを扱った実話を映画化したもの。

いずれ近いうちに紹介します。

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