スポットライト バチカンを震撼させた性虐待事件を映画化した話題作

カトリック神父による性的虐待事件がありました

このところ、バチカンの動きが活発です。
すでに何年も前に明るみになった神父の性的虐待事件。
その余波は今だに続いています。

 ローマ法王、性的虐待で元枢機卿の聖職剥奪

 ローマ法王庁(バチカン)は16日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis)が、性的虐待疑惑が持たれていた米国人のセオドア・マカリック(Theodore McCarrick)米ワシントン名誉大司教(88)の聖職を剥奪したと発表した。
 マカリック氏は昨年7月、聖職者としての活動を禁止されバチカンの枢機卿会を辞任。今年1月にバチカンの法廷で10代の未成年への性的虐待の罪により有罪とされ、2月にはフランシスコ法王もその判決を認めていた。声明によるとマカリック氏は「職権を濫用し、未成年および成人と第6戒(姦淫してはならない)を破る罪」を犯したという。マカリック氏は現在米カンザス州に居住している。
ローマ・カトリック教会は、最近米国とチリでも明るみに出た性的虐待スキャンダルで揺るがされている。フランシスコ法王は、たとえ高位の聖職者であっても虐待には「ゼロ・トレランス(不寛容)」の姿勢で臨むとしている。

2/17(日) 10:10配信【AFP=時事】

そもそもの発端は2002年だったのですね。アメリカで大々的にニュースになったのは。でも、これは事件の発端ではなく、明るみになった発端。いったいどれくらいの被害があったのか、誰もわかりません。いろいろ検索してみましたが、被害が膨大すぎて、気分が悪くなりました。

この映画は、この事件を映画化した実話です

この映画は、まさに2002年のセンセーショナルな記事を書いた「ボストングローブ」の記者達の話。細かな演出はあるでしょうが、実話です。

少し前に見ていたのですが、冒頭の記事を目にしたのでもう一度見てみると、とても他人事とは思えないという気持ちになりました。

このところの日本国内の話題は、まさに「児童虐待」。
神父による性的虐待と、親による「しつけ」の名を借りた虐待は、一見するとまったく別物のように見えます。
でも、根底にあるのは「自分より弱い立場の、無抵抗な人間への攻撃である」ということ。
福祉施設職員の入所者への虐待、教師やスポーツチーム指導者による暴言や体罰なども根っこは同じかもしれません。少々乱暴かもしれませんが、戦争中の捕虜への扱いなども、まったく同じ構図に見えてしまいます。

映画の話に戻りましょう。

この作品は2015年に世に出ました。衝撃の2002年から、実に13年が経過しています。事件は未だ現在進行形と言える状態ですので、13年でも早い映画化かもしれません。
監督は、トム・マッカーシー。
出演者の中に、大好きなマイケル・キートンも出ています。

物語としては大きな展開があるわけでもなく、新聞社のスタッフが精力的に証拠を積み上げていく様子が、ある意味淡々と描かれています。でも、この作品に限ってはその抑揚のなさが、逆に真実味を増しているようにも思えます。

映画は淡々としているけど、観ている方は登場人物と同じように感情的になっちゃう、不思議な映画。
あまり楽しい映画ではありませんが、正義がきちんと機能した事実を伝える貴重な映画です。ぜひ一度は見てほしい社会派映画のひとつです。

アカデミー賞の作品賞。脚本賞を受賞。その他、世界各国の賞を獲得又はノミネートされています。

スポンサードリンク

また、映画の話ではありませんが、
2002年の記事を書いたボストン・グローブのチームは、翌年のピューリツァー賞を受賞しています。

3月に、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」があります

教皇フランシスコは、全世界の司教団に向けて、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けるよう通達しました。日本の司教団はこの呼びかけに応え、この日を「四旬節第2金曜日」と決めています。第1回目の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」は、2017年3月17日(金)となります。

司教団メッセージはこの日をすべてのキリスト者とともに、傷ついた被害者の方々の悲しみと苦しみを理解し、彼らのいやしと回復のために、いつくしみ深い神に祈り、また、全世界がこの困難な状況おを乗り越えるために、神からの恵みと力づけを祈るよう勧めています。

カトリック中央議会ホームページより

組織的な隠蔽が見られたカトリック教会ですが、多くの神父さんは人生の全てをかけて人類の平和と安寧のためにご尽力くださっています。
そんなみなさんにとって、「四旬節第2金曜日」というのは、本当に苦しい日だと思います。でも、過去の過ちを忘れず償おうとする気持ちには頭が下がる思いです。
私は仏教徒なので、直接のつながりはありませんが、ぜひ子供達を正しく導いていただきたいものです。

今年(2019年)の「祈りと償いの日」は、3月22日(金)だそうです。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする