「反日」「嫌韓」の文字がネットの世界を賑わしています。
日韓関係の記事の下には「早く断交しよう。」というコメントが多数を占め、こんな時に「韓国と仲良くしよう。」という言葉を発するのは、ちょっと勇気がいるかもしれません。
国全体が仮想敵国に目を向け、言論が自然にひとつの方向に収束する危険性を忘れてはなりません。
かつて日本が冷静な分析を誤り、「戦争なんて反対!」という意見を封じ込め、結果どんなに悲惨な状況を生み出したかを、忘れてはいけません。
それでも、一度距離を置いてみようよ
でも、韓国との関係については、緩やかな「協力関係の解除」を進め、一度関係を断ち切った方が良いように思えます。
仮に、今の日韓双方の論調が的外れな誤解だったとしても、です。
反日思想を苦々しく感じている韓国人も多数いるでしょう。
韓国と仲良くすべきだと考えている日本人も相当数いるでしょう。
でも、お互いを毛嫌いし言葉で攻撃をし合うような雰囲気の中で、それでも良好な関係を築くのは困難です。
一度、関係を解消してみないと次の段階に進めないような気がします。
例えばブレグジット
迷走を繰り返すイギリス議会。
イギリス連邦のEU離脱がどうなってしまうのか、どんな影響がイギリスと周辺各国に起きてしまうのか、心配でなりません。
実際、「国民投票のやり直し」という声も広がっています。
ブレグジット賛成に投票した人への取材で、「どんな影響があるかなんて考えてもみなかった。」という声も聞かれました。
もしかしたら、史上稀に見る判断ミスになるかもしれないブレグジット。
でも、イギリスにとってブレグジットを選択したことは、長い目で見れば悪いことではないような気がします。
いくつかの選択肢でブレグジットを考えてみます。
1 そもそもブレグジットが否決されていたら
今までと変わらない生活が続きます。
EUそのものだって今後順調とも限らず、英国民の中に「EU加盟に伴う制約があるから、国の経済や自分たちの生活が向上しない。」という不満が今後もくすぶり続けることになります。
2 ブレグジットが成功したら
この判断は正しかったのだと、胸を張って国の舵取りができ、国民も納得します。(こうなって欲しいと、ほとんどのイギリス人は望んでいるでしょう。)
3 ブレグジットが失敗だったら
この判断が誤りだったということに気づき、次の行動を冷静に考えることができます。「(以前より立場は悪くなっても)もう一度EU加盟を目指す。」「苦しくてもEUと距離を置き、独自の路線を歩む。」
ブレグジットがどういう結果になったとしても、何も動かないでもんもんとしているよりも良いというのが私の考え。
この考えを「無責任だ」という人も多いかもしれませんね。でも、無責任と非難されるのは、その影響を過小評価してうたずらに国民感情を煽った一部の政治家でしょう。
日韓関係に話を戻します
1 このままの状態を維持すると
韓国からは「賠償だ、謝罪だ。」と、事あるごとに日本叩きが続き、日本は「遺憾」というおよそ一般の日本人が使わない言葉を発する。
韓国は韓国で、日本は叩きたいけど完全に離れることもできず、中途半端に矛を下ろす。
双方にのこるしこりは解消されないまま、この関係が未来永劫続くかもしれません。
もちろん、戦争や日本の統治を知らない世代の交流が進み、いがみ合った時代を過去のものとして仲良くなる可能性も否定できません。
でも、日本では戦争を知らない世代が徐々に右傾化しており、かつてはタブーだった直接対決を容認するような言葉も見られます。
「感情的に歩み寄れないけど、かつての戦争状態は避けたい。」そう考えていた世代が引退し、「歩み寄れない。」だけが残る可能性もあるかもしれません。
このままの状態を続けても、時間が解決しそうにないというのが私の意見。
2 国同士のつながりを断ち、双方がうまくいく場合
可能性はかなり低いですが、距離を置いたことでお互いが感情的にも経済その他の国の動きもスムーズに流れるなら、これが一番良いですね。可能性は低い、というよりほぼ考えられませんが・・・。
3 国同士のつながりを断ち、双方が苦しくなる場合
「感情的にならず、歩み寄りの姿勢を持っていれば良かった。」
「なんてばかな選択をしてしまったのだろう。」
いろいろな反省がでてくるでしょう。その中で、「もう一度日韓関係を修復しよう。それがWinWinだ。」と考える人も出てくるでしょう。お互いの国が同じように考えるなら、その時点でまた国交を回復すればいいのです。少なくとも、今の不愉快な緊張感を解決する努力をするはずです。
「国は苦しくなったけど、精神的には安定している。このまま国交を回復させないで頑張っていこう。」と考えるなら、それも良しです。
「無責任だな。」そう言われるかもしれません。
でも、自分自身は日韓が関係を断ち切った後に起きるかもしれない混乱や経済の悪化にはきちんと耐えるし、人のせいにしたりしません。
実際にどれくらいの影響があるのか、またはないのか、きちんと想像もできないので、せめて何があっても文句は言うまいとは思います。
但し、戦争はやめましょう
「やってみて失敗なら、その時点で見直そう。」という考えは、戦争には適用できません。いろいろな制裁措置はあっても、直接対決は避けましょう。
ここだけは、日本の国が世界に誇れる部分だと思います。
「それじゃあ、攻められたらどうするんだ?」
ごめんなさい。答えがでません。
日本て、歴史的に外国から攻められた経験がほとんどない国なので、感覚が鈍いのかもしれませんね。第二次大戦も、日本が攻めていったからやられたのであって、一方的に攻められたわけではありません。(北方領土だって、戦争状態でなければいきなり攻められることもなかったでしょう。)
攻められたのって、「元寇」くらい?
少なくとも、国交の断絶が日韓戦争につながるとは考えていません。お互いに相手を苦々しく思っても、最後の一線は超えないと思いますが、甘いでしょうか。
最後に
私は日本人です。日本人だから日本の肩を持つというつもりはありませんが、どうしても日本の側からのニュースを多く聞くためなのか、どちらかというと日本寄りの考えをしています。「レーザー照射問題」も韓国がおかしいと思うし、「慰安婦」「徴用工」の問題など、いつまで盛り上がっているのだろうと不思議に思います。しかも国同士の約束も「非人道的な事には適用ならない。」という呆れる論法まで繰り出し・・・。そもそも人道的な戦争なんてあり得ないわけで、だからこそ「二度とやらない。」と誓っているわけです。その戦争への賠償を国同士で約束したのなら、「慰安婦」「徴用工」の問題は韓国政府にすべきでしょう。
ただ、もし自分が韓国に生まれ育ったなら、また違う感情を持っていただろうし、一概に「お前が悪い。」という言うつもりもありません。
だからこそ、一度距離を置いて冷静に考える必要があるのです。
自分の考える一番良いシナリオは、こうです。
1 国交は断絶しないが、協力関係を全て断ち切る。
(安全保障を含むかどうかは、政府に判断を委ねます。)
2 お互いの国が悪影響を受けて生活が苦しくなる。
(あーあ、仲良くすれば良かったとお互いが思う。)
3 もう一度仲直りをする。
(こんどは関係が壊れないように、しっかり協議しようね。)
かつて、ヨーロッパのある国に3年間滞在したことがあります。
そこで度々利用させてもらった韓国人経営の小さなスーパーがありました。
店主のキムさんはとっても良い人で、いつも笑顔で対応してくれて、小さな子供にはアイスクリームをあげてたりしていました。商売上手とか外面ではなく、ほんとにいい人でした。
当たり前ですが、日本人の中にもおかしな人やズルイ人はいるし、韓国人にも素晴らしい人はたくさんいます。それが、国と国の関係が修復できないためにお互いの人間性まで否定してしまいそうになる。こんな不幸な時代が早く過ぎ去ることを願います。
そのためにも、今は離れよう。