コロナウイルスの猛威が止まらない
横浜・クルーズ船の感染者10人を病院搬送へ
横浜港沖に停泊しているクルーズ船について、ウイルス検査でおよそ10人の乗船者に新型コロナウイルスの感染が確認されたことがわかった。
2020 2/5(水) 7:58配信 AbemaTIMES
乗客・乗員はおよそ3700人の大型客船ダイヤモンド・プリンセスでは、おととい夜から検疫が行われていて、発熱などの症状がある人やその濃厚接触者あわせて133人から検体を採取し、ウイルス検査を実施した。
厚労省によると、症状がある人の検査は終了し、およそ10人の乗船者に感染が確認されたという。また横浜消防によると、このあと、10人を病院へ搬送する予定で、横浜港にある横浜防災基地で待機を始めた。
昔、船に乗った時に風邪が流行りました
船の名前はここでは触れませんが、比較的安価なクルーズ船です。私が入った部屋は4人部屋で、船に入って初めて知り合った人と同部屋です。船舶のツアー会社は年齢層などをうまく組んでいるようで、ほぼ同じ年代の人と楽しく世界を周ることができました。
そのクルーズ船で、一時風邪が流行したしたことがありました。その時なぜ風邪が流行ったのか本当の理由ははわかりませんが、船の中というのは、病気が流行する要素がいくつかあるのも事実です。
1 船内は意外に寒い
そうなんです。寒いんですよ。そもそも船内は下層部でタービンが稼働していて、かなりの熱が発生します。おそらく空調がないと、部屋によってはかなりの灼熱地獄になることも予想されます。そこで、船内は冷房が常に稼働することになります。
もうひとつの理由が、「涼しい方が船酔いを予防できる」という事実があるようで、乗客が船に慣れるまでの間は若干強めに冷房を入れるような話も聞きました。
実際、私の4人部屋も空調ダクトからかなりの冷風が吹き下ろし、「ああ、これは風邪引くなあ。」と思ったので、自衛策を取りました。自衛策といっても、マスクはあまり好きじゃないので、少し厚手のジャージで過ごしたくらいですけど。
空調ダクトは、吹き出し口の幅を調節して風邪が来ないようにすることも可能でしたが、あまり絞りすぎると換気の点で別の問題が起きます。私たちの部屋では最小限の風を取り入れ、衣類で調節するようにしました。
船全体がひんやりしているので、映画や演奏会・講演講座の際も注意が必要です。動き回っている間は何も感じないものの、じっと座っているとじんじん冷えてきたりします。会場入り口には毛布の準備されていましたが、全員が取れるほどの数もなく、後半は各自が羽織るものを持参しておりました。
デッキに出ると常夏の海。プールで遊ぶ人や日光浴する人を見ながら冷たいジュースを飲み、一歩船内に入ると季節は一気に秋になるのですから、体調を崩す人が出ても不思議はありません。
2 人口密度が高い
船内は狭い空間をできるだけ広く見せる工夫があり、パブリックスペースで窮屈な感覚はありません。でも、どこに行ってもそれなりの人がいて、「半径2m以内に人がいない」という空間の確保はほぼ無理です。緊急事態でない限り、乗客の行動を制限することもできませんから、一度流行性の病気が発生すると、あっという間に広がります。
私が乗った船でも、あちこちで咳をする人が出てきて、こりゃあやばいなと思う時もありました。我が部屋でも、一人が苦しそうな咳を始めたら、10日後には全員が咳き込んでいました。
そんな状況でも、船のスタッフは「あなたは他の人にうつす危険があるから、部屋で待機しなさい。」と指示をすることはありませんでした。風邪をひいて部屋で寝込んで、スタッフから食事を運んでもらう人は何人かいました。それもスタッフの指示ではなく、客の判断です。
3 かぜは1ヶ月で収束した
私がのった船は、ゲホゲホと咳き込む多くの乗客を乗せ、インド洋を渡りスエズ運河を越え、それでも地中海に入った頃には収まっていました。幸い、流行ったのはインフルエンザでなく、普通の風邪だったようです。普通の風邪といっても「アデノウイルス」「ライノウイルス」というウイルス感染であることには違いがないので、飛沫感染はします。ある程度全員にウイルスが行き渡り、症状が出る人は出尽くしたのが、ほぼ1ヶ月だったのかなあと思われます。
いずれにしても、全体としてはクルーズの日程に変更はなく、旅は続きました。
それでも船の旅は楽しい
病気が流行してしまうと、船の旅ならではのリスクが露呈してしまいます。そう考えると、船の旅なんてするもんじゃないなあと思う人も多いでしょう。でも、船には船ならではの良さがたくさんありました。ここで全てを書き示すことはできませんが、寄港地に停泊しない大部分の洋上生活にもたくさんの刺激と楽しみがありました。船の旅をする人はそもそも時間のゆとりがある人ですから、仮に感染者が出たとしても、「船内の部屋で自主隔離して、ゆっくり過ごそう。」というゆとりを持てればきっと大丈夫。
今回のコロナウイルスの騒ぎで、「船はダメだな。」と考えるのは早計ですよ。そもそも、船でなくても感染リスクはあるのですから。
もしかしたら、世の中に凄まじい病気が大流行し、たまたま外の世界と接していなかった客船だけが助かる、なんていう近未来SFのような状況もないとは限りません。