「盗んだのは、絆でした。」
この言葉の意味が、映画を見た後にじんじんと染みてきます。
とても素晴らしい映画でした。
そして、この映画がカンヌでパルムドールに輝いたことに、
驚きと喜びが湧いてきました。
よくぞ、この映画をグランプリに選んだものです。
まだ上映中なので、ネタバレにならないように感想を
最近の日本は、少し病んできているような気がします。
つい最近も、5歳の少女が両親の虐待で死亡するという事件が起きたばかり。
「言われなくてもこれからがんばるぞ。だからゆるして。」と日記に書き、
「もうごはんが食べられない。」と衰弱して死んでいった彼女を思うと、
「何かできなかったのだろうか。」と、遠い地に住む私でさえ思います。
うまくいかないこと、おもしろくないことを、
抵抗できない弱い立場の人や、無防備な人への攻撃で紛らわす。
そんな病気が蔓延しつつあり、恐怖も感じます。
「万引き家族」は、そんな時代の中で生まれた傑作。
でも、ほんとはこんな作品が世に出なくてもいい社会にすべきです。
映画は、
血のつながりはないけれど、
肩を寄せ合って生きている「家族」の物語。
「万引き家族」という題名が示す通り、
決して褒められた生活をしているわけではありません。
一般的には、
「社会のクズ」とまで言われるような家族です。
(クズは言い過ぎかな?)
でも、
彼らが家族に向ける眼差しは優しい。
本当の家族ですら忘れてしまっている「家族の姿」を
血の繋がりのない、ダメな人々が体現している。
家族って、何だろう
そんな問いかけを一人一人にぶつけてくる作品でした。
安藤サクラさんの泣き方は
是枝監督は授賞式後のディナーで、審査員長を務めた豪女優ケイト・ブランシェット(49)が「安藤さんのお芝居について、熱く語っていた」と明かした。
2013年の「ブルージャスミン」で米アカデミー賞主演女優賞を獲得したハリウッド女優は、「もし今回の審査員の私たちがこれから撮る映画の中で、あの泣き方をしたら、安藤サクラのまねをしたと思ってください」と絶賛。是枝監督も「審査員をとりこにしていた」とうなった。
(サンケイスポーツ)
この話を聞いていたので、どんな泣き方をするのか気になっていました。
ここでは詳細を書きません。
やっぱり実際に映画館で見て感じた方がいいですからね。
でも、ここで言えるのは「うまいなあ。」というひとこと。
この映画は、どちらかといいうと演技も淡々としていて、
ドキュメンタリー映画を見ているような感覚になります。
俳優の演技も、自然というか、普通の人っぽさが出ています。
安藤サクラさんの泣き方も、
この映画の雰囲気に見事にマッチしています。
安藤さんの演技を見て、なぜか私は、
「怒られちゃったけど、なんとかがまんしてる幼稚園の女の子」
を連想しました。
なんだか、どんどん良い女優さんになってますね。
映画はPG12です
オープニングクレジットに「PG12」という文字が出てきました。
これは、「R指定」よりも軽い扱いです。
PG12
12歳未満の子供が見る場合、親や大人の指導助言が必要。
R15+
15歳未満は入場も鑑賞も禁止。
R18+
18歳未満は入場も鑑賞も禁止。
若干の性描写や万引きの様子、それからいくつかの犯罪の映像が出てきます。
子供と見ることもOKですが、
ここは、大人がしっかりと「家族」を考える映画と位置付けた方がいいかもしれません。
まとめ
良い映画は映画館で、
先入観なしで見ましょう。
そんな意図もあり、
できるだけネタバレしないように気をつけてレビューしてみました。
(レビューになってない・・・ですね。)
まちがいなく良い作品です。
カンヌ映画祭で最高賞の「パルムドール」を受賞しただけのことはあります。
ぜひ、映画館に足を運んで鑑賞しましょう。
余談ですが、
私が今回初めて入った、A県B市の映画館には、
ロビーにちょっと洒落たカフェのような店があり、
そこの女性スタッフが、
すぐに映画俳優になれるような、
キュートな美人でした。
映画館には映画っぽい人がいるもんだなあと
ちょっと感心しちゃいました。
(いえ、下心とか、そういうことではなく・・・)